神様と『夏らしいこと』を


今日もいつになく暑いな。

それなのに、わざわざ涼しい部屋から外に出てくるとは、物好きか?

ほう。息詰まったから気分転換・・・か。それも良いだろう。


ん?夏らしいこと、一つもないままに過ごしてしまった?

なるほど。では、夏らしくしてやろう。ほら。


ハハハっ。良い反応だな。さっきまでとは一変した景色に驚いたか?お前が今見ているこの景色は、数百年も昔のこの地だ。

避暑地にはもってこいの涼しさだろう。

現代のように大きな建物などなく、小川や小さな湖があった。ふふっ。長閑な景色だろう。

・・・で、少しは気分転換になったのか?そうか。ハハハっ。確かに。これは避暑地に休暇ではなく、心霊体験の類やもしれんな。

お前を此処に囲って愛でるのも良いかと思ったが、嫌われたくもないのでな。ほら。


ふふっ。暑さと涼しさに、身体を壊すんじゃないぞ。

お前には、今のその頑張りに見合うだけのものが待っておる。今は苦しくとも、乗り越えて見せよ。

それでもまだ辛い時は、また参るが良い。少しばかり付き合ってやってもよいぞ。

お前のその笑顔を供物にな。