著:結城隆臣
刀剣乱舞の二次創作。神喰竜也の物語。
流血・暴力的表現や刀さに、BL表現が含まれます。
※刀剣乱舞の世界観の自己解釈と、マイ設定があります。
※史実に忠実ではありません。
※いろいろ都合よく解釈しています。ご注意ください。
※史実に忠実ではありません。
※いろいろ都合よく解釈しています。ご注意ください。
最近、三日月を見かけない。
審神者になった時からほぼ一緒に行動していた、あの三日月が。
あまりにも側にいる時が多く、鬱陶しくて避けたり逃げていたのがもはや懐かしい。
ある意味やっと解放された様な気もするが、いつの間にかいつも一緒にいる事が当たり前になっていて、妙に落ち着かない。
審神者になった時からほぼ一緒に行動していた、あの三日月が。
あまりにも側にいる時が多く、鬱陶しくて避けたり逃げていたのがもはや懐かしい。
ある意味やっと解放された様な気もするが、いつの間にかいつも一緒にいる事が当たり前になっていて、妙に落ち着かない。
「主、2振り目の俺を用意してくれないか」
そんなある日のこと、突然三日月がこう切り出した。
「俺は主が作り出した三日月宗近ではない、故か主との力の相性が合わぬ時があり、今後、封印の管理に支障が出るやも知れぬ」
この長い月日の中で今までその様なことは1度も言われたことはなかった。
不審に感じて眉をひそめ、三日月を見る。
彼は普段と何ら変わらない笑みを浮かべていた。
「それなら何故もっと早い段階で言わない。すぐ分かるだろうに」
「いやはや、言う機会をついつい逃してしまっていた」
「いやはや、言う機会をついつい逃してしまっていた」
くだらないことや面倒くさいやりとりまで、三日月とは話す場面がたくさんあったと言うのに、機会が無いとはやはりおかしい。
竜也は疑問に思いながらも三日月のその訴えを聞き入れる事にした。
だが、すぐに新しい三日月宗近が顕現される訳も無く、のんびりと月日が流れていく。
そしてついに三日月が竜也を完全に避け始めた。
躰が重たく感じられるようになってからだいぶ経つ。
それは三日月にとって、竜也の体内に存在するあやかしの力や、暴走する対魔の力を抑えているのが限界に近付いてきている証拠でもあった。
本体には見えない程度の小さなヒビが大量に入り始め、体を動かすのもやっと。
どちらかと言えば寝ている時間の方が増えたかも知れない。
力も弱まり、もはやなまくらとなった三日月は、力を温存するために竜也と距離をとった。
だが、そんなある日。
「どうして俺を避ける」
竜也が三日月の部屋を訪れ、座る三日月に食ってかかった。
「ジジイだからか、最近ひどく眠い」
「……嘘をつけ」
「本当に眠いだけなのだ」
「黙れ! 全て分かっているんだ」
「……嘘をつけ」
「本当に眠いだけなのだ」
「黙れ! 全て分かっているんだ」
竜也が懐から包み紙を取り出し広げる。
そこには1本の折れた短刀の破片があった。
そこには1本の折れた短刀の破片があった。
「俺が折って少し喰った」
三日月は驚いて竜也を見た。
ついに刀剣男士に手を出してしまったというのか。
「大丈夫、本丸の皆には知られてはいない」
「……」
「それより、俺の中の奴らが俺を蝕んでいることを俺自身が知らないとでも思っていたのか? アンタがそれを封印していたのは最初から知っているし、それがここ最近になって急激に弱まってきているのも分かっている。これがその証拠だ」
「……」
「それより、俺の中の奴らが俺を蝕んでいることを俺自身が知らないとでも思っていたのか? アンタがそれを封印していたのは最初から知っているし、それがここ最近になって急激に弱まってきているのも分かっている。これがその証拠だ」
竜也が語尾を振るわせてこちらを見る。
「そうか、知っていたか」
「……隠すのが下手なんだよ」
「……」
「いずれ、本丸内や、政府にも知れる。そして、俺は処分されるだろう」
「……隠すのが下手なんだよ」
「……」
「いずれ、本丸内や、政府にも知れる。そして、俺は処分されるだろう」
不意に竜也が三日月の両の腕をつかんだ。
「側に、いてくれ」
「……」
「俺を存えさせるためにしてくれていたのだろ? それなら人でなくなる最後まで責任を取って見守れよ」
「……」
「俺を存えさせるためにしてくれていたのだろ? それなら人でなくなる最後まで責任を取って見守れよ」
三日月は微笑みながらも内心困惑していた。
もはや封印が解けるのは時間の問題。
三日月自身が耐えられなくなり折れた瞬間に竜也の封印が外れ主は人ではなくなるだろう。
三日月自身が耐えられなくなり折れた瞬間に竜也の封印が外れ主は人ではなくなるだろう。
竜也の近くにいると封じているものの影響が強まり、三日月の劣化が加速するため、なるべく離れ、その間に新しい三日月を迎え封印の役目を引き継ぎたいと思っていた。
だが、自分以外の三日月に主を任せるのは嫌だと思う自分もいる。
だが、自分以外の三日月に主を任せるのは嫌だと思う自分もいる。
このひと月、竜也と離れて分かったことがある。
自分の中でどれほど彼が大きな存在であったかということ、おそらくそれは竜也にとっても同じだったのであろう。
自分の中でどれほど彼が大きな存在であったかということ、おそらくそれは竜也にとっても同じだったのであろう。
三日月はため息を吐くように微笑むと、声を発した。
「今やなまくらになってしまって主の役に立つか分からぬぞ」
「構わない。なまくらだとて人を一人位殺すことはできるだろう」
「……」
「折れて破片と化してもお前ならその殺傷力は衰えないはずだ。どちらにせよ、狂って死ぬのなら……俺は、あんたの手で死にたい」
「……主」
「だから、側にいてくれ」
「構わない。なまくらだとて人を一人位殺すことはできるだろう」
「……」
「折れて破片と化してもお前ならその殺傷力は衰えないはずだ。どちらにせよ、狂って死ぬのなら……俺は、あんたの手で死にたい」
「……主」
「だから、側にいてくれ」
頭を下げる竜也の顔を上げて、三日月はその体を抱きしめると優しく口付けた。
「その様な言葉2度と口にしてはならぬぞ、竜也。人は人らしく生きるほうが良い。それに、俺は主を死なせはせぬよ。最期の時まで主の側にいよう」
眉間にシワを寄せ、いつものムッとした表情でこちらを見る竜也に三日月は精一杯の微笑みを見せると、ゆっくりと布団に横たわった。
分かっているこの体はあと数日の命。そして主も。この本丸は狂った主によって滅ぶのだろう。
三日月は竜也の手を握りしめるとじっと目を見つめた。
「もう、一人にはせぬよ」
『君が好きで、嘘をついた』
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