著:結城隆臣
他の本丸の創作審神者様との交流作品になります。
刀さに・流血・暴力的表現が含まれます。ご注意ください。
※刀剣乱舞の世界観の自己解釈と、マイ設定があります。
※史実に忠実ではありません。
※いろいろ都合よく解釈しています。ご注意ください。
※史実に忠実ではありません。
※いろいろ都合よく解釈しています。ご注意ください。
「え、椿様、今日留守なの?」
「うん、政府から呼び出されてね」
「うん、政府から呼び出されてね」
突然の来客に何事かと思って出てみれば、主のお友達である海様(だったかな?)の所の清光がちょこーんと門前に立っていた。
両腕でラッピング済みの大きな箱を抱えている。
両腕でラッピング済みの大きな箱を抱えている。
「いないのかぁ」
「そんな顔されても困るんだけど。何、ウチの主に会いたかったの?」
「そんな顔されても困るんだけど。何、ウチの主に会いたかったの?」
しゅーんとした顔で頷く。
素直な奴。アイツと同じなのに何か違って調子が悪い。
素直な奴。アイツと同じなのに何か違って調子が悪い。
「で、それは何?」
「主が歌仙と燭台切と一緒に作ったケーキ」
「は? ケーキ? 何でまた」
「安定、お前、知らないの? 今日椿様の誕生日だよ? それで……」
「ちょっと、お前こっちのアイツじゃないのに馴れ馴れし……って、誕生日!?」
「主が歌仙と燭台切と一緒に作ったケーキ」
「は? ケーキ? 何でまた」
「安定、お前、知らないの? 今日椿様の誕生日だよ? それで……」
「ちょっと、お前こっちのアイツじゃないのに馴れ馴れし……って、誕生日!?」
主の誕生日だって!? 知らない、知らなかった!
僕は驚いた。
僕は驚いた。
それと同時にどうしてコイツがそんなことを知っているのか疑問に思う。
「僕も知らないこと、何で知って……」
「ウチの主から聞いたんだよ。で、お使い役を買って出た訳。椿様に会えると思ったのになぁ……」
「ウチの主から聞いたんだよ。で、お使い役を買って出た訳。椿様に会えると思ったのになぁ……」
こっちがびっくりして軽く混乱しているのも気付いていないのか、ますますショボンとした顔になる。
ああもう、なんか腹が立つ。
ショボンとしたいのはこっちの方だ。
ああもう、なんか腹が立つ。
ショボンとしたいのはこっちの方だ。
「あーもう、わかったよ、多分もうすぐ帰ってくるだろし、それまでいなよ、ウチに」
「良いの!?」
「うん、だからアイツと同じ顔でその表情やめて。調子狂う」
「俺、なんか顔に出してた?」
「あーもー、いいから、行くよ!?」
「良いの!?」
「うん、だからアイツと同じ顔でその表情やめて。調子狂う」
「俺、なんか顔に出してた?」
「あーもー、いいから、行くよ!?」
応接の間に清光を置き、僕はケーキを本丸内の涼しい場所に置きにいった。
主へのいただき物だとメモも添えて置けば、誰かか食べてしまうことも無いだろう。
主へのいただき物だとメモも添えて置けば、誰かか食べてしまうことも無いだろう。
お茶を持って戻ると、応接の間に三日月宗近が増えていた。
「主がまだ戻っておらぬのに、清光だけ居るから、おかしいと思って話をしていたのだ」
こちらを見るなり、そう三日月が口を開く。
「ぱっとこちらの清光ではないと気付けなんだ、あいすまん」
「あーえーと、その、大丈夫だからさ」
「あーえーと、その、大丈夫だからさ」
清光が恐縮したような表情で手を振る。
まぁ天下五剣が一振りに頭を下げられたらそうなるよね……とも思うが、やっぱりウチの加州と比べると腰が低いというか違和感があって妙にイライラする。
お茶を置くと、ふっと微笑んでありがとうと返してきた。
ああもう何かが違う。そうじゃないだろうってツッコミたい。
ああもう何かが違う。そうじゃないだろうってツッコミたい。
三日月が物欲しそうにこちらを見ているので仕方なく、もう一杯のお茶を入れてくることにした。
部屋を出る時、しり目に様子を見れば、三日月と清光が談笑している。
なんとも不思議な光景だった。
なんとも不思議な光景だった。
いつだったか聞いた話だけれど、あっちの清光のところは主が二人いて、しかも一方の主とは会えてないらしい。
主が二人いるっていうのもなんか不思議なものだけど、会えないってのもまた不思議なもので、そんな環境下だからこそ、清光があんな感じになっちゃってるのかなぁとも思う。
主が二人いるっていうのもなんか不思議なものだけど、会えないってのもまた不思議なもので、そんな環境下だからこそ、清光があんな感じになっちゃってるのかなぁとも思う。
あっちには僕もいるのだろうか……。居るんだったら少し会ってみたい気もする。
お茶をもう一杯用意して再び戻ると、三日月の姿はなくなっていた。
「もー欲しそうな顔してたから持ってきたのに」
「眠くなったってさー」
「これだからお爺さんは」
「眠くなったってさー」
「これだからお爺さんは」
ふっと吹き出すように清光が笑う。
つられてこちらも笑ってしまった。
つられてこちらも笑ってしまった。
しょうもないので持ってきたお茶は自分が飲むことにして、主が戻るまで軽く清光と話してみることにした。
そんなに時間がかからず戻ってくると思っていたけど、どうやらそうではないらしい。
気が付けば演練のこととか、任務のこととか、お家事情の話までいろいろ話していた。
そんなに時間がかからず戻ってくると思っていたけど、どうやらそうではないらしい。
気が付けば演練のこととか、任務のこととか、お家事情の話までいろいろ話していた。
何だか話しやすいぞ、この清光……。
それからしばらく経って、主とこっちの清光が帰ってきたと薬研が応接の間に来て教えてくれた。
宮城本丸の清光を部屋に残して出迎えに向かう。
宮城本丸の清光を部屋に残して出迎えに向かう。
「疲れました……」
「本当、お疲れさま。大変だったね」
「本当、お疲れさま。大変だったね」
疲労の色を浮かべた主を支えるようにしながら清光が続く。
客がいることを伝えるべきか悩んだけれど、言うしかない。
客がいることを伝えるべきか悩んだけれど、言うしかない。
「おかえり、主。実は来客があって……今応接の間で待ってもらっているんだけど……」
「それは大変ですね。すぐに向かいます」
「それは大変ですね。すぐに向かいます」
応接の間に主と清光を連れ立って入ると、待っていた宮城本丸の清光がぱっと顔を明るくさせた。
こっちの清光がちょっと嫌そうな顔をしたのは言うまでもないけど。
こっちの清光がちょっと嫌そうな顔をしたのは言うまでもないけど。
「柊と海から誕生日のお祝いを届けるよう言われて……」
「誕生日? ああ、そうでした、そうでしたね……。面談ですっかり忘れていました……。ありがとうございます。お二人によろしくお伝えいただけますか」
「誕生日? ああ、そうでした、そうでしたね……。面談ですっかり忘れていました……。ありがとうございます。お二人によろしくお伝えいただけますか」
主がにっこりと微笑みながら宮城本丸の清光の手前に座り、ふぅ、とため息をつく。
宮城本丸の清光が何かを喋ろうとした時、主の斜め後方に立つ清光が不満気に口を開いた。
宮城本丸の清光が何かを喋ろうとした時、主の斜め後方に立つ清光が不満気に口を開いた。
「あのさ、主ってばさっき政府から緊急に呼び出されていろいろ大変だったんだよね、ちょっと休ませてあげたいんだけど」
ややむっとした表情で宮城本丸の清光をじっと見つめる。
「……呼ばれてたってのは聞いていたから。大丈夫。今、帰る」
宮城本丸の清光が急いで立ち上がる。
主が焦るように引き留めようとするも、手を振ってそれを断った。
主が焦るように引き留めようとするも、手を振ってそれを断った。
「お疲れなのに邪魔しちゃってごめんね。帰る」
「ですが、せめてお茶でも……」
「さっきたくさん安定からもらったし、もうおなかタプタプ」
「ですが、せめてお茶でも……」
「さっきたくさん安定からもらったし、もうおなかタプタプ」
ふっと、苦笑して宮城本丸の清光が返す。
嘘つけ。と、僕は思った。
そして、主と清光の視線がこちらに向く。
嘘つけ。と、僕は思った。
そして、主と清光の視線がこちらに向く。
「結構長くいてもらったんですか?」
「えーと……」
「安定―だめじゃんー」
「いやあの、俺がいていいかって言ったんだ、わがまま言ってごめんね」
「えーと……」
「安定―だめじゃんー」
「いやあの、俺がいていいかって言ったんだ、わがまま言ってごめんね」
清光と僕の間を掻き分けるようにして宮城本丸の清光が応接の間の襖に手をかける。
「とにかく、俺もう帰るよ、用も済んだし。椿様、お勤めお疲れさま。お邪魔しました」
ぺこっと軽く頭を下げて。飛び出すようにそのまま出て行ってしまった。
急いで襖から顔をのぞかせて様子を見ると、薬研に声をかけられている宮城本丸の清光の姿があった。
気付いたのか薬研がこっちを一瞬見て頷き、手を振る。
どうやら送って行ってくれるようだ。
襖を閉じ、改めて主と清光を見る。
急いで襖から顔をのぞかせて様子を見ると、薬研に声をかけられている宮城本丸の清光の姿があった。
気付いたのか薬研がこっちを一瞬見て頷き、手を振る。
どうやら送って行ってくれるようだ。
襖を閉じ、改めて主と清光を見る。
何とも言えないような複雑な表情をしていた。
「いつからいらしていたんですか?」
「……一刻位前?」
「2時間も!?」
「安定ー」
「……一刻位前?」
「2時間も!?」
「安定ー」
清光が眉をしかめる。
「すぐ帰ってくるだろうなって思っていたから、僕がいたら? って言ったんだよ。予想外な展開になったけど……」
「……そうだったのですか」
「え、アイツがいたいって言ったんじゃなくて、お前がいろって言ったの?」
「……うん。主に会いたかったみたいだったし、ちょっと興味もあったし」
「なんだよそれ……」
「……そうだったのですか」
「え、アイツがいたいって言ったんじゃなくて、お前がいろって言ったの?」
「……うん。主に会いたかったみたいだったし、ちょっと興味もあったし」
「なんだよそれ……」
清光がため息を吐きながら、あきれた表情をした。
主もやや苦笑気味ではある。
主もやや苦笑気味ではある。
「もーいいや。主、今日はもう休もう?」
「え? あ、はい、そうですね」
「あ。えーと……誕生日ケーキ貰ってあるんだけど、どうする? 疲れた時は甘い物とか言うでしょ?」
「じゃあ、せっかくですからいただきます」
「主の部屋に持って行くから、そっちに行ってて」
「わかりました」
「え? あ、はい、そうですね」
「あ。えーと……誕生日ケーキ貰ってあるんだけど、どうする? 疲れた時は甘い物とか言うでしょ?」
「じゃあ、せっかくですからいただきます」
「主の部屋に持って行くから、そっちに行ってて」
「わかりました」
僕は逃げるように急いでケーキを置いた場所に向かった。
宮城本丸の清光には少し悪いことをしてしまったような気がする。
政府の用事で主が疲れるかも知れないって予想できなかった事も後悔した。
ああ、もう散々だ。そんなことを考えながらケーキを手に持った時、薬研が廊下の先にいるのが目に入った。
政府の用事で主が疲れるかも知れないって予想できなかった事も後悔した。
ああ、もう散々だ。そんなことを考えながらケーキを手に持った時、薬研が廊下の先にいるのが目に入った。
「海さんとこの清光さん、送ってきたぜ」
「ありがとう」
「言伝を貰った。お礼言ってたぜ。後、今度遊びに来いってさ」
「そう……」
「自分の本丸に仲良い奴がいないのか? こっちの本丸は羨ましいとか言ってたんだが」
「さあ……どうなんだろう。ひとまず、ありがとう、薬研。僕はこれを主の所に持っていかないといけないから」
「ケーキ、だっけ? 取り皿とか必要だろ? 俺っちが持って行くぜ」
「助かるよ」
「ありがとう」
「言伝を貰った。お礼言ってたぜ。後、今度遊びに来いってさ」
「そう……」
「自分の本丸に仲良い奴がいないのか? こっちの本丸は羨ましいとか言ってたんだが」
「さあ……どうなんだろう。ひとまず、ありがとう、薬研。僕はこれを主の所に持っていかないといけないから」
「ケーキ、だっけ? 取り皿とか必要だろ? 俺っちが持って行くぜ」
「助かるよ」
何だか胸がもやもやする。
どうしてそう思うのか内心首をかしげながら、主の元へケーキを運んだ。
どうしてそう思うのか内心首をかしげながら、主の元へケーキを運んだ。
ケーキは2段の豪華なもので、たくさんのフルーツと砂糖菓子でデコレーションされていた。
もちろん主が一人で食べ切れる筈がなく、結局みんなを呼んで主の誕生日会が突発的に行われる形になった。
主は恥ずかしそうに笑っていて、みんなも楽しそうに時は過ぎていったけれど、何となく僕だけは複雑な気持ちでいっぱいだった。
主は恥ずかしそうに笑っていて、みんなも楽しそうに時は過ぎていったけれど、何となく僕だけは複雑な気持ちでいっぱいだった。
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