著:結城隆臣
他の本丸の創作審神者様との交流作品になります。
刀さに・流血・暴力的表現が含まれます。ご注意ください。
※刀剣乱舞の世界観の自己解釈と、マイ設定があります。
※史実に忠実ではありません。
※いろいろ都合よく解釈しています。ご注意ください。
※史実に忠実ではありません。
※いろいろ都合よく解釈しています。ご注意ください。
本日はお友達である海様の本丸にて、刀鍛冶の鍛冶場を見学させていただくはずでした。
それがどうして、こうなってしまったのでしょうか。
私と宮城本丸にいる加州清光様が鍛冶場に取り残され、閉じ込められてしまったのです。
それがどうして、こうなってしまったのでしょうか。
私と宮城本丸にいる加州清光様が鍛冶場に取り残され、閉じ込められてしまったのです。
時は数時間前に遡ります……。
宮城本丸にはごく一般的な鍛冶場と同じ設備が整っていて、刀剣男士の鍛刀も儀式ではなく実際に途中まで打ち、そこに柊様の霊力を注ぐことで具現化するという仕組みだそうで、かねてより興味があり見学させていただく手筈となっておりました。
本日の近侍は当方の本丸に居ります清光でしたので、ともに宮城本丸へと足を運ぶ形となりました。
清光とともに宮城本丸を訪れると、海様とその隣に加州清光様が並んで本丸の御門の前にてお待ちになっておいででした。
清光とともに宮城本丸を訪れると、海様とその隣に加州清光様が並んで本丸の御門の前にてお待ちになっておいででした。
清光が自分と同じ……けれどもどこか違う存在に目をぱちくりさせていたのを覚えております。
その後、軽く会話をし、お茶をいただいて、鍛冶場の見学を済ませ、外に出ようとした時です。
鍛冶場の重く重たい扉がひとりでに閉まり、私と清光様が出られなくなってしまったのです。
鍛冶場の重く重たい扉がひとりでに閉まり、私と清光様が出られなくなってしまったのです。
何度も開けようと試みましたが、外からも内からもびくともせず……。
そして今に至るのです。
「主、大丈夫ー!?」
「ええ、少し暑いですが、私は大丈夫ですよ。清光」
「ええ、少し暑いですが、私は大丈夫ですよ。清光」
扉の向こうから清光の声が聞こえます。
隣にいるもう一人の清光様……は、困ったような表情を浮かべて頭を掻かれておいででした。
隣にいるもう一人の清光様……は、困ったような表情を浮かべて頭を掻かれておいででした。
「開けにくいとか閉めにくいとかはあったけど、この間点検したときは大丈夫だったのになー」
「中にいる俺! 主に何かあったら許さないから!」
「はいはい」
「中にいる俺! 主に何かあったら許さないから!」
「はいはい」
清光同士が会話をしているところは何とも不思議なものですね。
とてもピンチな場にいるはずですのに、なぜか心が和んでしまいます。
とてもピンチな場にいるはずですのに、なぜか心が和んでしまいます。
ところで海様はどうされたのでしょう……。
そう思っていると、外にいる清光が何やら誰かと会話している様子でした。
「主、海君が扉を開ける方法を見つけたみたいだよ。少し時間がいるらしくて、待っていて欲しいってさ。俺、水とか貰ってくるから。」
「ええ、わかりました」
「中の俺! 主のことよろしく頼むよ!」
「わーかったよ、早くもらってきなって」
「ええ、わかりました」
「中の俺! 主のことよろしく頼むよ!」
「わーかったよ、早くもらってきなって」
清光の足音が遠ざかって行きます。
少しだけ不安に感じていると、清光様がため息をつかれました。
少しだけ不安に感じていると、清光様がため息をつかれました。
「ねー。ええと、椿様……だっけ、そっちの俺は随分と過保護なんだね」
そう言いながら地面にどっかと座られました。
清光であれば服の汚れを気にしておそらくしないでしょう。
本丸が違えば同じ刀から具現化した存在でも若干の差異はあるようですね。
清光であれば服の汚れを気にしておそらくしないでしょう。
本丸が違えば同じ刀から具現化した存在でも若干の差異はあるようですね。
「……過保護、なのでしょうか」
「俺にはそう見えるけどね。まぁーその、俺んとこ、主が二人いるからそう思えるのかも知れないけど。しかも片方とは会ったことないし」
「柊様……ですね」
「そう、その人。姿も声も何も知らない。歌仙だけ何度も会ってて、あいつだけ特別。何かズルくない?だからなんて言うか、主なんだけど主に思えないって言うか……」
「……」
「俺にはそう見えるけどね。まぁーその、俺んとこ、主が二人いるからそう思えるのかも知れないけど。しかも片方とは会ったことないし」
「柊様……ですね」
「そう、その人。姿も声も何も知らない。歌仙だけ何度も会ってて、あいつだけ特別。何かズルくない?だからなんて言うか、主なんだけど主に思えないって言うか……」
「……」
咄嗟には答えが出ず、私は口を閉じてしまいました。
その時、外で足音が聞こえてきました。
清光様が眉間にシワを寄せて、立ち上がります。
清光様が眉間にシワを寄せて、立ち上がります。
「噂をすれば……」
「椿様、大丈夫かい?」
「椿様、大丈夫かい?」
声は歌仙兼定様のものでした。
「大丈夫です。先程、清光が水をいただきに向かったのですが」
「そうなのかい? 僕も水と食事を持ってきたのだけれど、会わなかったなぁ。捜してみよう。加州、これを椿様に」
「そうなのかい? 僕も水と食事を持ってきたのだけれど、会わなかったなぁ。捜してみよう。加州、これを椿様に」
格子が掛かっている窓の隙間から歌仙様が水筒とおにぎりを清光様に手渡されます。
そしてそれを清光様がこちらにポーンと投げられました。
そしてそれを清光様がこちらにポーンと投げられました。
「わっわぁ」
「加州清光!」
「はいはい、すみませんでしたー」
「加州清光!」
「はいはい、すみませんでしたー」
歌仙様に見えない向きでベーっと舌を出されます。
清光も同じ様なことをしたりするのでしょうか……。
清光も同じ様なことをしたりするのでしょうか……。
歌仙様が清光を捜しに戻られ、また私は清光様と2人になりました。
窓が開いているとはいえ、鍛冶場です。
暑さが身に堪えます。
清光様も少しお辛いように見えました。
暑さが身に堪えます。
清光様も少しお辛いように見えました。
「水、飲まれますか? 刀剣男士とは言え、肉体は人と変わりません。このような環境で水分を取らなければ、脱水症になりかねません」
「俺は大丈夫だから」
「いけません!」
「俺は大丈夫だから」
「いけません!」
私は水筒を清光様に押し付けました。
「飲んでください。私の分は清光が持ってきてくれますから」
「……ありがとう」
「……ありがとう」
清光様が水筒を開け水を飲んだのを確認して、私も近場にあった椅子に腰掛けました。
「ねえ、俺も椿様の所に顕現されれば良かったな……」
そう清光様が呟いた時、外から清光の声が聞こえました。
「主! ごめん、遅れて! 道に迷って……。歌仙に会って案内して貰ったけど、この本丸迷路過ぎ!」
「迷路過ぎるよね! 最初マップ渡されるレベルなんだよ、ここ!」
「迷路過ぎるよね! 最初マップ渡されるレベルなんだよ、ここ!」
清光様が言いながら窓から外にいる清光に手を伸ばします。
「主に水、渡すんでしょ?」
「あ、う、うん」
「あ、う、うん」
清光様経由で再び水筒をいただき、その後、他愛も無い話をしながら待っていました。
幾人かの宮城本丸の刀剣男士達が心配して様子を伺いにいらして、その方々ともお話してみたり。
そしてそうこうしているうちに海様がやって来て扉が開きました。
「予想より時間がかかっちゃった。椿さん、ごめんなさい。加州も無事で良かったよ」
「いいえ、助けてくださってありがとうございます」
「いいえ、助けてくださってありがとうございます」
鍛冶場から出ると、外が涼しく感じました。
風が心地よく、ため息をつくと清光が後ろからギュッと抱きしめてきました。
周りには海様、清光様、歌仙様の目があります。
慌てていると、清光の声が耳に届きました。
周りには海様、清光様、歌仙様の目があります。
慌てていると、清光の声が耳に届きました。
「無事で良かった……」
「清光……」
「てか主何度閉じ込められてるの? 心配掛けたお詫びに後で10回、帰ったら!」
「分かりました」
「10回って何?」
「清光……」
「てか主何度閉じ込められてるの? 心配掛けたお詫びに後で10回、帰ったら!」
「分かりました」
「10回って何?」
海様が首をかしげます。
ベーっと舌を出して清光が言いました。
ベーっと舌を出して清光が言いました。
「教えてあげない!」
私は先程清光様がしていた事を思い出して笑ってしまいました。
本丸に帰った後、閉じ込められた話を薬研にも教えていると、何を思ったのか清光が突然怒り始めました。
「あいつ、ウチに顕現されたかったみたいなこと言っていたの!?」
「清光!?」
「まぁ、あちらさんはなかなか大変そうだからなぁ」
「清光!?」
「まぁ、あちらさんはなかなか大変そうだからなぁ」
薬研が顎に手を当てながら言いました。
「お助け出来れば良いのですが……」
柊様を思うと胸が痛んでどうしても辛くなります。
しんみりとした空気を打ち破ったのは清光でした。
しんみりとした空気を打ち破ったのは清光でした。
「あ! そういえば、主、忘れていたけど、10回好きって言って! まだ言われていない!」
「えっ!? あ、は、はい!」
「えっ!? あ、は、はい!」
清光が、私の両肩をつかんで真っ直ぐこちらを見てきます。
横から視線を感じて見てみれば、薬研がニヤニヤと笑っています。
どうぞと言わんばかりに、手で送られ、視線を清光に戻しました。
横から視線を感じて見てみれば、薬研がニヤニヤと笑っています。
どうぞと言わんばかりに、手で送られ、視線を清光に戻しました。
「す、好きですよ。清光」
「もう1回!」
「好きです」
「もう1回」
「もう1回!」
「好きです」
「もう1回」
そして穏やかに時が過ぎて行くのです。
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